北陸の大雪

2月4日~8日にかけて,北陸では大変な大雪になり,車の立ち往生も1500台にのぼりました.この期間中,特に積雪が増えていった地域を浮き彫りにするために,期間中の積算降水量の分布で見てみます.下の図は,5日~7日の積算降水量が80ミリ以上の地域を表示させたものです.すると,石川県の加賀~福井県の嶺北にかけて,降水量が特に多く,150ミリ前後の降水量になっている所があります.この時期,雨で降ってもビックリするような多い降水量です.

72時間降水量2月5日~7日にかけての72時間積算降水量(80ミリ以上)

↓雲画像で見てみると,日本海には明瞭な収束帯があって,能登半島付近に到達している状態が続いています.

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左上:5日9時(可視) 右上:5日21時(赤外) 左下:6日9時(可視) 右下:6日21時(赤外)

こうして広い目で見ると,発達した雲域がかかり続ける,状況が変わらない,という点が良くない点ですが,もっと拡大してみるとさらに良くないことが分かります.その前に,福井の5日,6日の1時間観測の時系列を見てみます.

5日 6日

4日から8日にかけて降雪は断続的に続いていますが,まとまった降雪になったのが,①5日の未明~昼過ぎにかけてと,②5日の夜遅く~6日の昼過ぎにかけてです.その中には,時間5cm以上の強い降り方をしている時間があります.そこで,①と②の時間帯の収束帯付近を拡大してレーダーエコーと風の分布を見てみると…

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RSM_18_0205_09001 RSM_18_0205_12001

↑① 左上:5日3時 右上:5日6時 左下:5日9時 右下:5日12時

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↑② 左上:6日0時 右上:6日3時 左下:6日6時 右下:6日9時

①も②も単に収束帯が到達しているだけでなく,収束線上の小さな渦が次々と嶺北地域に到達し,渦の通過とともに強いエコーがかかっていることが分かります(動画にしたほうがよく分かるんですけどね).特に,5日夜遅く~6日昼過ぎにかけての時間帯は,降り方が強い状態が12時間以上も続いているということです.こうなると,どんどん除雪が追いつかなくなってきますし,ましてや立ち往生が始まったら除雪しようにも効率よくできなくなるし,負の連鎖が止まらない状態です.

今回の大雪は,日本海にできた収束帯が能登半島の付け根あたりにずっと突っ込んできたせいです.せいなんですが,もし同じ分量の降水量を72時間で割って,均等に,時間2~3ミリぐらいの降水量で雪が降ったとしたら,ここまでの立ち往生状態にならなかった…かどうかは,まあ色々な悪い状況が重なったこともあるでしょうから分かりませんが,一つはこのような形が長期間維持されてしまうような総観場だったこと,そしてその3~4日間の降雪の中にも降り方が強い時間帯があって,それがある程度長い時間だったことは,かなり悪い条件だったと感じます.今回の事例で分かるように,JPCZの雲域は狭く,少しズレれば全然降雪がない所もあったわけです.こういう所が,南岸低気圧のように総観規模の擾乱による降雪よりも,ずっとずっと予想が難しいと思います.

2018年2月8日~天気はコロコロ変わる~   合同会社てんコロ.
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