台風第27号、28号

台風の話をしたばかりですが…、今度は台風のお勉強方面のお話しです。いや、ほんの少しではありますが…。

<台風が2つに寒冷渦が1つ>

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24日00Z(朝9時)の解析です。左側が500hPa高度・渦度解析図、右側が850hPa気温・風 700hPa鉛直流解析図です。左側の図に注目すると、日本付近はいかにもワルそうな渦に取り囲まれています。南海上の2つ(赤丸)が台風の27号と28号、北側の渦(青丸)が寒冷渦です。昨日から今日にかけて、「はい!全員集合!!」的になんか集まってきているように見えます。(台風27号に関しては、あまり動いてないのです)。右の図では、台風の北側の西日本にある傾圧帯と、寒冷渦に対応する低気圧の前面で温度線が混んでるあたりが、怪しげです。それぞれバラバラに見てみますが、結局は日本付近に影響を及ぼす雨や風は、コイツらを総合的に捉えて考えないとダメなんですけどね。

<台風第28号は、まさに鉄人!>

鉄人!って意味分かる人って、若い人はあまり居ないのでしょうか…(T_T)。昔ね、鉄人28号っていうアニメがあったんですよー…。まあ、いいです。

で、なぜ鉄人なのか?というと、その発達度合いの急激さが。スゴイ。ちょっと目を離した隙に、みるみる発達してきてしまいました。めちゃくちゃワルそうな目で、ガン飛ばしています。目を合わせないよーにしましょー。下に、これまでの28号の発達度合いと、赤外画像をのっけておきます。

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?<25日夜~26日にかけて、2つの台風が接近>

?MSM_13_1024_1400ちょっと小さい図になってしまいましたが…。見て下さい!26日9時の2つの台風の位置。もし予報円の中心をとおってきたら、2つの距離は1000km以内に近づきます。そしたら、藤原効果があるかな?「藤原効果」って聞いたことありますか?最近、テレビでもよく言われていますが、2つの台風が1000km~800以内に近づくと、お互いに干渉して複雑な動きをするというものです。まあ、2つあれば藤原効果があると思ってる人もいるみたいだけど、近づかかったら、2つそれぞれの単独パフォーマンスですよ。

<藤原効果のパターン>

例えば、2つの台風の大きさや強さが同等だった場合、①相寄り型②指向型③追従型④時間待ち型⑤同行型⑥離反型 といった種類があるようです。今回の場合は、形からすると「追従型」に見えますがどうなんでしょう。はじめは東西に並んだ2個の台風のうち、、まず1個が先行し、その後を同じような経路を通って、もう一つの台風が追従する形です。

追従型図に書いてみました

台風2が先行して進み、あとから台風1が同じコースに進んでいく感じです。ちなみに、この図は台風1と2が合流して一つになるという意味ではありません!(2つの台風が一つになることはありません)。あくまでも、パターン化したらこんな感じということです。2つの台風の強さや大きさによって、その動きは複雑になります。「2つの台風の強さや大きさに著しい差がある場合は、相対的に強くて大きい台風はあまり動かず、小さくて弱い方の台風が、一方の台風の周りを回るような動きをします」とあります。果たして、26日の9時の時点で、27号は中心気圧980hPa、28号は強い台風で中心気圧960hPa(※24日13時点の予想)…うーん。差はありますが著しい差なのかどうか、分かりません。もしこのような携行に従うと、26日は関東南岸に近づきそうで、28号のせいで近づけない…みたいなシナリオはあるのでしょうかね。まあ、ちょっと注目しておきます。

<寒冷渦がジワジワ東進>

25日の朝には、沿海州付近に達して、地上には対応する低気圧が日本海北部に進みます。寒冷渦の注意事項と言えば、お決まりの「南東象限」というのがあります。寒冷渦の南東側下層には、暖湿気が入りやすく、大気の状態がちょー不安定になる、というワケです。では、下層の昔ながらの代表高度850hPaを見てみます。下の図は、850hPa相当温位・流線です。

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?330K以上の相当温位の領域は、薄い緑色で塗ってあります。また、相当温位線の集中帯でヤバそうな所は、黄色でうっすら着色してあります。これによると、九州や四国は台風27号の循環にやられそうですが、北側の低相当温位の空気とのコントラストが気になります。大陸の高気圧のしっかりぐあいからすると、台風の循環の北西側で北風が強まって、相当温位のコントラストの大きい所で収束して、対流が発達する可能性があります。その北東-南西の走向の収束帯が、26日にかけて東進していきます。大陸の高気圧がしっかりしていること台風のコースともに、その収束帯を維持させる要因となっていて、なんかイヤな感じです。しかも、東へ進むと高気圧の後面流もある。すると、北陸地方あたりにのびる集中帯や、東の海上から北海道にのびる集中帯に向かって、南よりの風で湿った空気が流れ込む。この辺りは不安定だから、かなりしっかりとした対流が立つ恐れがありますね。やっぱ高気圧、こえーな。

<大雨、強風は、1個の原因で起こってるわけじゃないよ>

そんな単純なシナリオじゃないからムズカシイし、オモシロイんですが。やっぱり、1個の原因に決めつけると、どうしたって説明つかない所がでてきますね。今回は、防災という面で気を付けながらも、気象予報士試験勉強中の方は特に、どういう所で雨が強く降るか、収束線はできるのか、観察してみると勉強になるかも知れません。また、秋の時期は内陸の気温も大事です。関東地方は特に、北東系の風でひんやりした空気が溜まっている状況です。湿った南東風は、この冷気とぶつかって、収束線を作るかも知れません。

?今週末も、なんだか忙しくなりそうです^_^;

 

2013年10月24日~天気はコロコロ変わる~   合同会社てんコロ.
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