「大気の状態が不安定」シリーズ

毎回毎回、上空の寒気ばっかりに気を取られるな!と言ってますが、では実際に今日の「不安定」について見てみましょう。まずは、上空の代表的な高度「500hPa」の高度・渦度・気温を見てみます。

<500hPa高度・渦度・気温>

寒気の入り方を大きく見たかったので、全球モデル(GSM)を参考にしています。先日、竜巻が発生したつくばあたりを中心に見てみると、関東地方の上空には、-18~ー19℃ぐらいの寒気がしっかりとしたトラフとともに関東地方の上空に入ってこようとしているのが分かります正渦極大値もしっかりしています。5月の終わりのこの時期は、500hPaの気温の平年値は-13℃前後ですから、平年よりも低い「寒気」が入るということです。ということで、上空寒気とトラフという条件はクリアです。続いて、下層の様子を見てみます。

850hPaの相当温位、流線の予想図です。広い画で見てみると、関東地方には東海上の高気圧性循環の後面から入る南東~南風と、北日本を中心とする低気圧性の循環からの北西~西風が収束している場になっています。関東地方をもう少し細かく見てみると

15時と18時を用意しました。ともに明らかな収束エリアが2つ見られます(青丸でかこった部分)。しかも西側の収束には、低気圧性の循環が見られます。相当温位の数値的には、大きいところで321K以上の暖湿気です。下層では、気流の収束と高相当温位の空気が補給される形ができているということで、これも条件クリアです。

そうして、予想されている降水がこのような状態です。

<18時地上流線・降水域>

強い降水が計算されているエリアの中心は、1時間60~70ミリの強さです。地上風の収束具合も完璧です。つまり、今日の「不安定」はかなり危険な方だということが言えるのではないでしょうか。竜巻は、日本ではそうそうたくさん発生するものではありません。ですから、寒気がきたらすぐ、竜巻竜巻と騒ぐのは全くおかしな話です。が、本当に危険な時は一生懸命、注意喚起しなければいけないのだろうと思います。今日は、後者でしょう。落雷・竜巻などの突風・降雹・短時間強雨などのシビア現象に、十分警戒しなければなりません。

時間のある方は、こういった時に気象庁がどのような気象情報を出すのか?実際の情報を見て覚えておくといいかも知れません。

2012年5月29日~天気はコロコロ変わる~   合同会社てんコロ.
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