15日にかけて,ついにアイツが重い腰をあげる

連日わいわい騒がれている通り強い冬型が続いていますが,「冬型の気圧配置」の形としては私の気に入らない形が続いています…あ,すみません.私は日本海にキレイに筋状の雲がびっしり並ぶ形が好きなものですから.

SAT_R_17_0113_090013日朝9時の可視画像です

昨日の9時の可視画像をご覧ください.日本海西部にはキレイな筋状の雲がのびていますが,その北側にはもさっとした雲域が広がり,その境目が明瞭です.ここにシアがあって,それを辿っていくと北陸沿岸に達しています.このような形が強弱を繰り返しながら続いてきているのです.

SAT_S_17_0114_0730今朝7時半の赤外画像です

今朝の赤外画像で見てもやはり日本海西部では西北西~東南東の走向の筋状雲が明瞭です.変わってきたなと思うのは,太平洋側への吹きぬけです.昨日の朝の可視画像では筋状の雲が陸地に達すると,そこで溜まっているような形になっています.西風の成分が多く,山地の風上側で雲が発達してしまっていました.

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左上:地上 右上:850hPa 左下:700hPa 右下:500hPa 各等圧面の風(MSM3時間予想図)とレーダーエコー

上の4枚の図は,14日6時の各等圧面の風です.MSMの予想ではありますが,大体このような感じの風が吹いていたと考えると,日本海西部は下層から700hPaまで風向が西北西~北西ぐらいで概ね揃って,山陰に溜まって滞っていた流れが無くなり,太平洋側に吹きぬけたのだろうと思われます.一方,北陸から東北地方の日本海側では鉛直シアが大きく,ふんづまりが続いています.大きく見れば,北日本にある寒冷渦が同じ所で長期間ぐるぐるしているからです.ですが,これがついに動き出す見込みです.つまりタイトルの「アイツ」とは,寒冷渦のことです,ハイ(・∀・)

<700hPaの寒気の動向 左上:14日9時 右上:14日15時 左下:14日21時 右下:15日3時>

MSM_17_0114_0900 MSM_17_0114_1500 MSM_17_0114_2100 MSM_17_0115_0300

500hPaの寒冷渦の動向ではなく,大雪の目安になる700hPaの寒気(赤太線が-21℃)で見てみると,中心付近に-30℃の寒気核を持つ-21℃以下の空気は,今夜にかけて次第に南下してきます.低気圧循環の中心は次第に秋田沖に近づき,15日の3時には陸地に達して不明瞭になっています.中心の南を回る流れは,北陸沿岸で見ると南西⇒西⇒北西に次第に変化して,これまで日本海にあった低気圧の循環が東へと移動することが分かります.そう,つまり,今夜から明日朝にかけて,ついにアイツが動き出すのです.

ご覧の通り,まさにその動いていく時にこれまでよりも強い寒気が流れ込むので,一層の警戒が必要になるということです.今夜までは引き続き,北陸の沿岸から平野部で特に大雪に注意が必要です.それ以降は次第に降雪の中心が山沿いに移っていきますから,今夜から明日朝にかけては山沿いで警戒するとともに,これだけ強い寒気が強い風で流れ込みますから,山を越えた太平洋側の平野部でも積雪に注意しなければなりません.

このような「冬型が続く」場合,天気図で大きな変化がないと,雪の降り方も変わらないように思われがちですが,細かく見れば全然違いますし,だから細かく見る必要があるということです.シアの有無や,小さな渦の通過,風向・風速の変化によって,どこでいつ雪が強まるかを大きく捉えてから,対象となる地域(自分が行く所,自分の親戚が住んでいる所など)を絞って,レーダーやアメダスの気温・風の観測,ライブカメラなどを駆使して実況を追っていかなければなりません.結構タイヘンでしょ?

2017年1月14日~天気はコロコロ変わる~   合同会社てんコロ.
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