気象予報士実技スクール始まりの週末は雲が…

今日,11月7日は,防災気象プロ&てんコロ.共同開催「気象予報士実技スクール」始まりの日です!平日は,憎らしいぐらい青空で秋晴れが続いてたのに,週末は雲が広がりやすい場になってきます.

 

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左:朝6時半の赤外画像 右:朝3時の速報天気図

日本付近,ざっくばらんに雲が広がっています…(-_-)

ひとことで片付けようとすると,そんな感じになってしまいます.速報天気図だけでは,なかなか説明しにくくないですか?高気圧に覆われてるぐらいだし.ということで,他の高度の天気図も見てみることにします.まずは,朝6時の上空のほうから.(300hPa以外は,MSM・3時イニシャルのT=3予想図)

RSM_15_1107_060030MSM_15_1107_060050

左:300hPa高度・風 右:500hPa高度・風・渦度  全体的に西寄りの風が卓越する中で,北日本のほうにより強い風があります(ピンクや赤で示されている風)下の水蒸気画像でも確認できますが,この辺りに強風軸があります.ここに温度差の大きい所があり,上空の前線帯になっています.風向と言い,前線帯と言い,日本海から北海道付近にしゃーっとかかる雲域(西南西~東北東の走向)は,この強風軸に沿って現れている上層雲と考えられそうです.

 

SAT_Q_15_1107_0700朝7時の水蒸気画像.6時にしなかったのは,単なる間違い.

MSM_15_1107_060070 MSM_15_1107_060085

左:700hPa風・相対湿度 右:850hPa相当温位・風  700hPaの相対湿度で見ると,上の図で言う所の強風軸のもう少し南側にやはり湿度の差の大きい所があります.境目から南側では広く相対湿度が高く,特に境目の南縁には西寄りの風に従って,相対湿度の高い空気が東西にびろーんとのびてきています.500hPaの正渦度域の分布から考えると,日本海は正渦度移流域で,気圧の谷の前面にあたる所で,これが日本海から東北地方の太平洋側までのびる中層雲域に対応している感じです.また,850hPaを見ると,地上天気図では大陸に中心を持つ高気圧に,日本全体がどーんと覆われているように見えても,日本海から東北地方あたりに,等相当温位線の集中帯(300K付近)があり,上空から見てきたように,やはりこの辺りには前線が潜んでいるということが分かります.

ちなみに,今回見ている雲画像は「赤外画像」なので白っぽく写っている所は,周りよりも比較的高い高度にある雲域です.これは雲画像を動かして見ないと分かりにくいのですが,雲の動きから,日本海や四国地方に見られる白い雲域は,この700hPaあたりから上空の雲域であることが分かります.

ただ,四国あたりは,もっと下の層にも雲があるようです.

MSM_15_1107_0600925hPa風・相当温位

850hPaと925hPaの天気図から,西日本には高気圧性循環の南側で,南~南東風により相当温位の高い空気が下層に流れ込んでいます.特にシアの大きめの四国地方では,所々に降水エコーがあって雨を降らせているようです.上層雲がかかってよく見えませんが,そもそもそんなに高い高度まで発達していない,そんな雲で雨が降っているのかな~と考えられます.

ざっくばらんに広がっている雲ですが,広がる高度も違うし,要因も違うし,なんやかんやひとことでは言えないのが天気ってヤツですね.にくいですね~(・∀・)

さて,週末はこんなふうにして,日本付近は雲の広がりやすい場となります.今日は特に触れませんでしたが,黄海~朝鮮半島付近にのびている前線や,この辺りで徒党を組んで,ちんたらちんたら日本海に移動してこうようとしている低気圧性循環たちの影響もあって,今夜から明日にかけては,あっちこっちで雨が降りそうですね.

2015年11月7日~天気はコロコロ変わる~   合同会社てんコロ.
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