雷雨について 2

雷雨について…って書いたら、今日は割と広い範囲で雷さまでした。
ということで、今日はマルチセル型雷雨の続き。実際に最近あった事例を紹介します。

これは、ちょうどうちの気象予報士講座で「マルチセル型雷雨」を勉強した翌週に発生したのですが…

これを見て、私の先輩予報士さんが
「これは、まさに勉強したばかりのマルチセル型雷雨じゃん?」と、発見したんですね~

<2011年6月21日の事例>
21日9時地上天気図
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梅雨前線が、本州南岸に停滞しているところ…

500hPa気温・高度
?

上空500hPaの様子。赤線が気温で、パッチされている部分は-9℃以下の領域です。つまり、朝から東日本~北日本にかけて上空には寒気が入ってきている状態。しかも…

下層の代表、850hPaの相当温位と風の流れ。赤線とパッチ部分は相当温位の高いエリアで、そこそこの暖湿気が入ってきていることを示しています。

上空に寒気+下層に暖湿気、まさに大気の状態が不安定

関東地方は前線の北側ですが気圧の谷となっており、地上風が収束しています。この収束しているラインに沿って、大気の状態不安定が現れたようです↓

そんな時、現れたのがこの雲の塊です
17時ちょうど、赤マルで囲った塊ですが…
(17時↓)

(18時↓)

(19時↓)
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(20時↓)

 

17時に、群馬県の桐生あたりで発達し始めた雲を、1時間毎に見ていくと…その後、埼玉県の久喜付近から越谷、千葉県野田市付近、そして佐倉付近に到達。南東方向にずんずん進んできましたよー。

ところが、この時の上空の風、つまり雲を流す2~4kmあたりの風を見てみると(赤枠で囲った所)、大体西風です。

そんなことから、17時の時点では「このまま概ね東に移動して、埼玉南部あたりまで南下してくることはないな~。」と思っていたそうです。ところが、実際はしっかり南東進してきたし!

?そこで、地表付近の様子をよくよくうかがってみると…これは!

上の図を連続して見てみると、地上風が強いエコーに向かって吹きこんでくる、まさにその矢面で、次々とエコーが湧いてきています。

これはまさに、マルチセル型雷雨ではないか?!

その結果、積乱雲が世代交代を繰り返しながら、勢力を保って南東進しているように見えたわけなのですね。

?こうやって、一つのでっかい雲の塊を分解してみると、生き物のようにオモシロイ動きをしていることが分かるんです。

お天気って、ホント不思議なことが多いですね~

2011年7月1日~天気はコロコロ変わる~   合同会社てんコロ.
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